ファーストリテイリングの中途採用事情と転職者の年収について

画像出典:Raizel Kiong

 

ユニクロ、ジーユーなどを傘下に持つ日本を代表するアパレル企業、ファーストリテイリング。誰もが知っている超有名企業ですが、社員の給与水準が極めて高いことでも知られており、新卒・中途採用を問わず、ファーストリテイリングで働くことを希望する人は後を絶ちません。

 

そのため、求人数は非常に多いのですが、応募者数も多いので、ファーストリテイリングの競争倍率は極めて高く、転職を目指すというのは、かなり狭き門となります。

 

目次

ファーストリテイリングの中途採用事情と求人情報の入手方法

アパレル企業によくあるように、ファーストリテイリングでも、販売職と総合職で求人スタイルが違ってきます。販売職に関しては、地域正社員、アルバイト・パートでの採用となります。地域正社員というのは、採用地域において、転勤無しで働き続けることが出来る新しい勤務制度です。

 

週休3日、時短勤務もOKとされているので、子育てや介護をしながら働いている人が多くなっています。正社員なので、昇格や海外勤務のチャンスもあります。子育て中は時短勤務で働いて、時間の余裕が出来るようになってから、フルタイム勤務に変えて、キャリアアップを目指すといったことも可能となります。

 

販売職の求人に関しては、転職サイトやアルバイト情報サイトで見つかることは殆どなく、ファーストリテイリングの公式サイト内の採用ページにおいて、募集がかかるケースが大半です。求人情報をチェックして、希望する求人が見つかったら、直接応募することになります。

 

一方、総合職については、上記の採用情報ページからも募集がかかっていますし、同時に、転職エージェント経由で募集がかかることもあります。特に、ファッショーネ、クリーデンス、エランといった、アパレル業界に強いエージェントがファーストリテイリングの求人を扱っているケースが多いです。

<ファーストリテイリングの総合職求人の取り扱い頻度が高いエージェント>

 

そのため、公式サイトとエージェント、双方のサイトをこまめにチェックすることが重要ですが、エージェントの場合、一度求職者登録(会員登録)をしておけば、新規求人が発生するたびに、その都度、メールで通知してくれるので、自分で探す手間は不要となります。便利ですし、チェック漏れもなくなるので、登録を行っておくことをオススメします。

 

なお、募集がかかっている職種は様々ですが、特に下記のような職種において、募集頻度が高くなっています。いずれも、競争倍率が高く、即戦力とみなされるだけの経験・スキルを有していないと採用されるのは厳しいと考えてください。

<募集頻度が高い職種>

  • デザイナー、パタンナー
  • MD
  • IT(システム開発・保守、公式サイト開発・保守)
  • マーケティング、PR
  • 人事
  • 経理・財務、IR
  • 経営計画、出店計画、事業開発
  • 購買管理、在庫管理
  • 生産管理、品質管理

 

店長、スーパーバイザー、エリアマネージャーといった店舗運営に関連する職種については、販売スタッフの中から、優秀な人材が抜擢されるというのが一般的なので、中途採用で募集がかかることは、あまりありません。

 

ファーストリテイリング社員の年収について

ファーストリテイリングの給与水準については、アパレル業界はもちろんのこと、他業種の企業と比較しても、高いレベルにあります。ただし、給与体系としては完全に外資です。福利厚生は無いに等しく、その分が給与に反映されています。

 

逆にいえば、給与がファーストリテイリングを大きく下回る企業でも、トータルで考えたら、額面ほどの差ではなかったというケースもあります。ただし、それを加味しても、高収入と言える水準になっているのは間違いなしです。

 

また、基本給と賞与から構成されますが、賞与については実績重視であり、同じ職種・同じ業務内容でも、社員間に大きな差が存在します。評価基準もかなり明確となっており、実力が正確に反映されるようになっています。

 

なお、これは昇給についても同様です。ファーストリテイリングはランク制となっており、ランクが上がらなければ、昇給は殆どありません。ランクアップは目標の達成度合いによるため、毎年のようにアップする人もいれば、10年勤務しても、ずっと同じランクにいるという人もいます。

 

こういった状況なので、一概に年収はこれぐらいということは言えないのですが、参考までに現役社員の事例を幾つかご紹介します。

<ファーストリテイリングの年収例>

  • 23歳 店長 年収500万円
  • 24歳 店長 年収450万円
  • 25歳 販売員 年収250万円
  • 25歳 店長候補 年収380万円
  • 30歳 営業 年収550万円
  • 30歳 店長 年収600万円
  • 32歳 人事 年収700万円
  • 32歳 経営企画 年収900万円
  • 33歳 マーケティングマネージャー 年収1200万円
  • 35歳 財務マネージャー 年収1200万円
  • 37歳 経理 年収700万円
  • 38歳 マーケティング 1000万円

 

ワークライフバランスについて

ワークライフバランスについては期待しないほうが賢明というのが、大多数の現役社員の声です。残業に厳しく、総合職の場合、19時になるとオフィスが消灯となるので、強制的に退社することになりますが、ノルマを達成するため、自宅や週末に働くというケースが日常茶飯事のようです。

 

また、有給も含めて、休みは取れやすいのですが、休日でも電話がかかってくることが多いので、本当の意味で休めないという声も多いです。

 

唯一の例外がアルバイト・パートの店舗スタッフ。アルバイト、パートは残業を拒否出来る権利が与えられており、休日出勤もないので、キチンと休むことが出来ます。ただし、契約社員、正社員に昇格すると、仕事とプライベートの区別がつかなくなるというのが実情のようです。

 

冒頭でも触れたように、時短勤務が可能となる地域正社員制度が始まったので、今後は、この状況が改善される可能性がありますが、まだまだ始まったばかりの制度なので、何とも言えないというのが実情です。

 

女性の働きやすさについて

ファーストリテイリングの女性比率は販売職、総合職共通で7割を超えています。実力主義で、実績に応じて、昇給・昇格が決まるため、性別による違いはありません。そういった意味では、女性にとっても、やり甲斐を感じられる職場と言えます。

 

ただし、女性にも男性と同じ評価基準が適用されるため、ノルマも同等であり、ポジションによっては、男性と同じように力仕事を行わざるを得ないというケースもあります。また、ファーストリテイリングは激務なので、バリバリ働けるようなタイプでもないと、ついていくのが厳しくなります。

 

そのため、おとなしめ、おっとりしたタイプの女性社員でも、長い間、ファーストリテイリングで働くなかで、いつの間にか、サバサバしてキツイ性格に変わっていくことが多いようです。パワフルな女性でないと勤まらないというのが、大多数の声です。

 

産休、育休に対する理解度は高く、男性の育休取得例があるなど、制度としてはかなり整っています。復帰も容易に出来ます。ただし、総合職の場合、家庭を持っているからといって、業務負担が軽くなるということはないので、続けられずに辞めていく女性が少なくありません。

 

販売職の場合には、時短勤務制度を利用することが可能ですが、その場合、キャリアアップは難しいので、とりあえず仕事が出来れば構わないという人でないと、魅力度が薄い会社ということになってしまうと思います。

 

転職先としてのファーストリテイリングの価値

ファーストリテイリングは、バリバリの実力主義の世界であり、社員には非常に厳しいノルマが課せられることになりますが、そのノルマに応えることが出来れば、その働きに見合った報酬を手にすることが出来ます。

 

グローバルな企業でもあるので、海外勤務も含めて、様々なチャンスが用意されており、自分の力でキャリアを切り開いていこうとする人にとっては、魅力度十分の企業と言えるでしょう。

 

一方、ワークライフバランスを重視する人にとっては、忙しすぎて、自分の時間を取れないと不満に感じてしまうかもしれません。

 

社風がハッキリとしている会社なだけに、相性の問題というのは大きな要素となります。ファーストリテイリングへの転職を希望する人のなかには、給与の高さだけに目を奪われている人が多いのですが、自分が満足出来る職場なのかどうか、事前にキチンと見極めることが重要です。

 

本当に合うかどうか不安という人は、上記でも触れた、ファーストリテイリングの中途採用求人を扱う転職エージェントに相談してみてください。彼らは社内の実情について把握していますし、転職のプロなので、相性の問題にも精通しています。

 

もし、ファーストリテイリングは合わないという判断になった時には、代替となる候補を紹介してもらうことも可能なので、積極的に利用してみてください。