VMD

 

VMDというのは、未経験者・新卒採用者がすぐになれるものではありません。数年間、アパレル業界で経験を積んだ人のなかで、適正がある人が就くポジションです。

 

VMDになる方法として、最も確率が高いのが、下記のようなルートです。

 

販売員として入社

売上アップに貢献

店長に昇格

さらに売上アップに貢献

VMDに昇格

 

かなりシンプルにまとめていますが、ポイントは店舗の売り上げをアップさせられる人間になること。VMDというのは様々な役割をこなすことになりますが、その目的というのは売上。売ってナンボの世界です。

 

店舗ディスプレイや店内のレイアウトを考える仕事であり、デザインセンスが求められるので、クリエイティブで華やかな職業のように見えるかもしれませんが、VMDのノルマは売ること。徹底した商売人であり営業マンです。

 

どんなにキレイなデザインが出来たとしても、売上を伸ばせないのであれば、VMDとして失格です。そういった意味ではマーケティングが最重要スキルです。

 

ただし、アパレル業界の場合、売るためにはデザインが極めて重要、マーケティングの知識だけでもうまくいかない業界であり、そこで空間デザインや商品ディスプレイといった知識も兼ね備えた人材が求められるわけです。

 

こう考えると、VMDというのは様々なスキルを身につけたプロフェッショナルであり、豊富な経験と知識が求められる職業です。

 

ですから、販売員の時から、常に売上をアップさせるためには、どうすればいいのか?考えて実践することが重要です。その過程で必要な勉強をして身につけていく。学んだ知識を使ってみて、さらに経験を積む。

 

こういったサイクルを何年も続けて、能力を磨き続けた人のみがVMDになることが出来ます。

 

なお、デザイナーやパタンナーからVMDになる人もいますが、販売員のほうが、より直結する経験を積めるので速いかなと思います。また、バイヤーからVMDになる人もいますが、この2つの仕事は親和性が高いので、職種の変更がやりやすいでしょう。

 

ちなみに、VMDを目指すのであれば、身につけておくべきことがたくさんあります。下記にリストアップしてみます。

 

  • 店舗マーケティング
  • コピーライティング(POP作りに必要)
  • 空間デザイン
  • 商品ディスプレイ
  • 色彩心理学
  • データ分析

 

はじめて出てきた言葉について解説すると、色彩心理学というのは、カラーが人間に与える印象について研究する学問です。青だと信頼感を与える、赤だと行動的にさせる、緑は癒やしといったものですね。色彩心理学は空間デザインや商品ディスプレイを考える時には、必要不可欠な知識です。

 

データ分析というのは、商品ごとの売上状況を確認して、売れ筋商品とダメな商品を見分けるために必須です。もちろん、これはかなり単純な例であり、もっと高度なことを実行します。

 

たとえば、商品Aは日曜日に最も売れるので、日曜日には目立つように配置する、商品Bは平日の夜19:00〜20:00で売れる傾向があるので、この時間に配置場所を変えるといった感じです。

 

こういったデータは、会社全体の戦略を立案する時にも、貴重な資料となるので、企業側も重視します。従って、データ分析が苦手だと、VMDとして失格とみなされる可能性があります。VMDという仕事をするうえでは、とても重要なスキルです。

 

VMDになりたい人が頭に入れておくべき転職戦略

VMDというのは、元々アメリカから始まった分野です。近年、日本でも重要視されるようになってきましたが、まだまだ企業間で認識の違いに差があります。

 

VMD担当はいらない、あるいはつくる必要がない・・・と思っているブランドも少なくないのですが、こういった会社で、幾ら販売員として売上アップに貢献したとしても、VMDになることは出来ません。

 

ですから、VMDとして働きたい人は、店舗VMD担当がいるブランドに転職することをオススメします。有名ブランドでいえば、H&M、MUJI、ユニクロといった企業はVMDを重視しています。

 

こういった企業であれば、アルバイト入社でも売上という結果を出すことで、どんどんキャリアアップ出来ます。もちろん正社員として雇ってもらうことも出来ます。VMDを狙っているのであれば、ぜひこういった会社で働くようにしてください。